歌舞伎舞踊の「京(きょう)鹿子(がのこ)娘道成寺」。幕あきに騒々しく登場する寺僧が、隠し持っていた「般若湯(はんにゃとう)という妙薬」を、股ぐらから取り出す場面がある。
歌舞伎舞蹈《京鹿子娘道成寺》中有这么一幕。开场时喧嚣登场的寺僧,从胯下取出了私藏的“被称为般若汤的灵丹妙药”。
般若湯とは漢方薬、ではない。僧の仲間うちの隠語で、酒のことだ。仏教の五戒の一つに、飲酒をいましめる「不(ふ)飲酒戒(おんじゅかい)」がある。これを破る飲んべえな僧たちが、「体の薬に少し飲むだけだから」と、言い訳がましく呼んだのが始まりらしい。
所谓般若汤并非中药。这是僧侣之间的暗语,意指酒。佛教五戒中有一戒,禁止饮酒,即“不饮酒戒”。而喜爱喝酒而破戒的僧侣们,开始似乎是辩解般的吆喝着“作为对身体有益的良药只是稍微喝一点而已”。